
印章の歴史
鎌倉と
伝統を引き継ぐ鎌倉
判や印の歴史

画像提供:鎌倉市観光協会、他
国家・団体・法人・個人がお互いの
「意思」や「責任」を確認し合う日本人にとって「信用」を示す大切な必需品
神社参拝で受け賜るお札の「神璽」、鎌倉武士の出陣に使った戦勝祈願のための「御神印」、御利益があるとされる鎌倉の寺社仏閣の「御朱印」、武家や武士の「花押」、一般民の取引の「拇印・爪印」、鎌倉文芸の作品に使われた「落款・蔵書印」など、奈良・京都に続く鎌倉で印や判などの証明の文化が更に広がりました。
また、鎌倉時代に男子が元服する時に花押の使用を認めた「判始の儀式」も現在では形を変え、子供が成人する際「親から子へ印鑑を贈る文化」として日本全国で根付きました。そんな歴史ある鎌倉で作る特別な印鑑をお届けします。
歴史文化伝統の地「鎌倉」

はじめて武家政権が誕生した都「鎌倉」はおよそ千年の歴史と文化、自然を堪能できる町です。源頼朝は源平の合戦で平氏を滅ぼし、征夷大将軍となり、鎌倉に幕府を開きました。また、頼朝と北条政子が夫婦円満で仲が良かったといわれ、多くの方が参拝しパワーをもらっている場所でもあり夫婦円満、良縁、子宝だけでなく勝負事、仕事、健康の神様が宿る地ともいわれています。
参照:鶴岡八幡宮
証明文化の伝播の地「鎌倉」
源頼朝が幕府を開き鎌倉時代に入ると、宋との交流が盛んに行われました。その中で種々の文化が導入され、僧侶、文人が落款印を使用し始め、政府や地方の支配者の間でも様々な形で印章が使われ始めました。また、個人や組織の証明として「印」を押す習慣が定着します。一般庶民の間に使われた「印」は拇印・爪印などで、文書に押していく習慣がより広まり、重要な書物には蔵書印、家柄を示す紋様の焼印なども使用されました。
武士・武家の間では、文書発給が急速に増えることで花押が印章化します。これは文書が本物か偽物かを判断する時に「花押」を照らし合わせることにより、政治的な信用を得るとともに大切な証拠になるからで、武士・武家の間において広く花押が用いられ始めました。このように鎌倉の地で、「花押・印章・拇印・爪印・蔵書印・焼印」など証拠としての証明文化がより広がりました。
鎌倉では寺社仏閣を建造するための資金集めに用いた「勧進札の印」や、石に彫刻した「滑石紋様の印判」などが出土されています。さらに、中世における出土漆器の作成過程においても印判を用いました。また、鎌倉時代の印章の担い手として禅僧による落款印が使われました。


鶴岡八幡宮様の神聖なる「御判行事」
鶴岡八幡宮様の神符は牛王宝印(ごおうほういん)と呼ばれ、神威が込められており、古くは誓約書に使われていました。戦場に向かう鎌倉武士も、出陣に際して、この御神印を戴いた(いただいた)と伝えられます。熊野神の神使の八咫烏の鳥文字と宝珠でデザインされ、社名などを表している護符です。 牛王宝印は、火難などの災難除け、病気平癒、厄除けなどの護符とされますが、一方では、裏面に起請文(誓約)を書く誓約書としても 用いられました。 鶴岡八幡宮にも「牛王宝印」と呼ばれるご神符があります。こちらは、八幡神の神使は鳩ですので、鳩の鳥文字で書かれています。

出展:鶴岡八幡宮

お正月に行われる「御判行事」とは、御神印を額に押し当てることによって、病気平癒、厄除、無病息災を祈念するものです。またこの御神印によって頭脳明晰になるともいわれ、受験を目前にした学生が行事所に並ぶ姿も見られます。この御神印は常は本殿の奥深く、御神座近くに奉安されておりますが、お正月のこの時期に限り、行事所に移されます。
出典:鶴岡八幡宮歴史画集「御判行事」より
鎌倉時代の印章の担い手 禅僧
鎌倉時代の印章の担い手としては、禅僧の僧侶を上げることができます。臨済宗円覚寺派の大本山である円覚寺を開山された無学祖元様の落款など、鎌倉時代を代表する僧侶が使用した印影が沢山残っています。日本に最新の禅文化をもたらした渡来僧や、中国へ渡った留学僧らにおって、当時の印章使用の文化がもたらされ、彼らが出す文書や墨蹟、絵画への賛文などに用いられるようになりました。こうした禅僧による印章の使用が、戦国大名による印章を用いた文書、いわゆる印判状の創出に影響を与えたものと考えられています。一部引用:印章刻まれた歴史と文化 山梨県立博物館


臨済宗大本山円覚寺開祖「無学祖元」出典:花押・印章図典

鎌倉時代文印(僧侶・文人)
武田氏ゆかりの菩提寺のひとつ、南松院(臨済宗)に伝わる武田信玄の姉 穴山信友夫人像の肖像画(右)と「天桂玄長」の印(右)。桃隠正寿和尚の肖像画(左)と「春国光新」の印(左)。甲斐河内領主穴山信友おび同夫人の帰依を請け鎌倉建長寺より下山天輪寺に住し永禄9年信友夫人が死去するやその菩提寺南松院の創設にあたり開山となった。

出典:印章刻まれた歴史と文化 山梨県立博物館

滑石の紋様印判(鎌倉時代)
出典:武家の古都・鎌倉

牛王宝印の札(鎌倉時代)
出展:大河ドラマ館

佐助ヶ谷遺跡出土の印判(鎌倉時代)
出典:武家の古都・鎌倉

