印鑑

日本人と

日本文化の一つともいえる印鑑は、

日本人にとって信用を示す大切な必需品です。

海外ではサインが主流ですが、書類を出すとき、高価な契約をするとき、日本ではさまざまな手続きに必要な「印鑑」。日本文化の一つともいえる「印鑑」は、日本人にとって信用を示す大切な必需品。
実印は公的に認められた本人と認められる唯一無二の印鑑です。

印鑑文化

印章は天皇陛下を始め、大臣、知事、市町村長、学校長、議員、行政機関の他、会社、学校、団体、​神社、寺院、そして日本国民全員が所持するという*世界で唯一の文化です。押印とは法で守られた自己の権利・義務・所有を示し、互いの意思を担保する行為であり、サインで済ますことは違った「繊細で物事を誠実に意思決定する」勤勉で真面目な日本人としての生き方やアイデンティティとも言われています。 ​*戦前の名残で印鑑登録制度があるのは韓国、台湾。

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日本の歴史で使用された数々の有名な印、皇族や役人らの官印、僧侶や文人らの文印

官印の大きさ
【内閣訓令第一号】
天皇御璽:3寸 90mm角 / 官印:大型:35mm角 小型:30mm角
【官職印】
内閣総理大臣・各省大臣・次官・局長・部長:30mm角 / 課長:23mm角
【公職印】
知事:27mm角 / 副知事:24mm角 / 部長・出納帳:23mm角 / 課長・公立学校長:21mm角 / 公印都道府県印:30mm角

印の歴史

​印章は自己を表示し、また自己の権利、義務、所有を表示する一つの手段として、紀元前五千年代の後半にメソポタミアの原始農耕社会で発明されたもので、 石・粘土・貝殻・骨・金属などを材料として、それに絵や文字を刻み、粘土や布などに捺したものです。その目的を意味するものは自己所有物の表示ということ以外に「魔よけ」というような意味も含んでいました。印章自身もまた、お守りのように考えられていたのです。
日本に印が導入されたのは、遣唐使などの往復から始まった奈良朝の事です。
天平年間には印制が制定され、官印に内印(天皇御璽)、外印(太政官印)、諸司印(八省・諸寮印・諸国印)などができ、公文書に捺されました。地方では私印として寺社印も使われ、平安時代には官印や私印、中期になると公家や領主、武将が花押(書判)を用いるようになり、一般庶民は拇印や爪印を文書に押しました。
鎌倉時代には宋との交易により、僧侶や文人などが落款印・蔵書印が作られ、戦国時代には織田氏、武田氏、北条氏、上杉氏など現在でも有名な武将が花押を用いていました。更に、ポルトガルやオランダとの交易の際、御朱印や朱印状が必要となり数々の印章が作られます。
江戸時代になると、武士の他、商人や一部の農民にも印判の使用が認められたという記録が残っていますが、一般には朱肉の使用は禁じられ(鎌倉時代の作といわれる「金沢文庫」という印は黒肉のものが多い。)書画の落款印以外は許可されませんでした。したがって朱印は武家時代の公文書だけに限られ、非常に権威のあったものでした。例えば当時、朱印状によって外国との交易を許可された船舶を御朱印船と称したのもこのためです。 またこの頃、事物善悪・曲直を判断し、その判決書に印が捺されたことから印を判と呼ぶようになり、印判の語も生まれました。判師(御印師)は刀剣師と同様に帯刀を許されたということで、これは印に対する認識が深かったものと考えられます。そして明治6年(1873年)10月1日、太政官布告で署名の他に実印を押す印鑑証明の制度が定められました。今日においても、印章は本人の意思の確認としてあらゆる場面でも使われています。

印鑑はゆりかごから墓場まで

​印章は、我々が日常生活していくために、絶対欠くことのできない重要な必需品です。我々個人も法人団体、また国家も印章を用いてお互いの意志や責任を確かめ合っているのです。 私達が生まれたとき、まず出生届で始めて使い、入学や成績表などに保護者が捺し、学校卒業後、社会人としての第一歩に履歴書やいろいろな書類などに自分自身が使うことになります。そして婚姻届から死亡届に至るまでその数は数えきれないなどになるわけです。 社会人となって印の使用する機会が増えることは、その人の社会的地位の向上して いることを意味するものです。

印鑑は自身の変えないという意志表示の証明となります。印鑑を持つことは、一人前の大人としてみなされることとなります。日本では鎌倉時代に元服して花押を持つ「判はじめ」の儀式と同じように、今では印鑑を持つことは自立した社会人になるということです。成人式や誕生日、就職のタイミングで印鑑を贈ることもよく見られます。

【人生で印鑑が使われるとき】
出生届、婚姻届、離婚届、死亡届、養子縁組、離縁届、公正証書、遺言書、不動産売買契約書、賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書、車の譲渡契約書、ゴルフ会員権の譲渡契約書、内容証明郵便、委任状、領収書、預かり証、遺産分割協議書、連帯保証契約書、手術、代弁返済、行政手続、供託書、履歴書、願書、口座開設、社内決済、回覧、配達受け取りなど​

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押印は揺るぎのない「意思」を社会に示すこと

​印鑑は日本社会において、信用や信頼を意味する必需品であります。 その扱いは厳重に行いましょう。何かあった際、押印は裁判での決定的証拠になります。押印は民事訴訟法で「署名又は押印があるときは真正に成立したものと推定する」という規定があります。法律によって「書面」が必須と規定されている契約については、契約書を作成し、押印する必要があります。

  • 納得いかなければ押印しない!!

  • 同意書、示談書、契約書、調書、承諾書、受領書どのような内容でも納得した内容なのか必ず確認したか?!

  • 内容に問題は無いか?日付、住所に間違いは無いか?

法律における印鑑の重要性(証拠効力の違い)

自身で手書きした上に、印鑑が押されている書類は、法律的に証拠能力の高い書類となります。 効力としては「記名」よりも「記名押印」の方が強く、「記名押印」よりも「署名」の方が強く、「署名」よりも「署名捺印」が強い証拠能力となっています。社会において「署名+捺印」(署名に加え押印)があれば、証拠能力がもっとも高いということになります。
 

  1. 署名捺印:署名のみでも有効であるが、捺印も併せて行っているため最も証拠能力が高い

  2. 署名のみ:契約は有効

  3. 記名押印:契約は有効

  4. 記名のみ:正式な効力としては認められない

 

また、印鑑の法律は、民法、刑法、商法、不動産登記法、商業登記法と色々あります。 例えば、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役となります。
刑法17章:文書偽造の罪 公文書偽造等、偽造公文書行使等、私文書偽造等、偽造私文書等行使、電磁的記録不正作および併用

サイン・印鑑・デジタルについて

簡易手続きや簡易なチェック等については、「サイン」が利便性があると思われますが、厳密な正当性を示す意思決定として重要な契約や手続きに関してはサインの利便性は著しく低く(契約双方が公証人に正当性を示してもらうなどの手続き等)なります。公証人に日程調整しなければならない、手数料が高い、そもそも欧米とは違い公証人による証明ではなく行政が発行する印鑑証明制度が確立されています。また、サインは特徴さえつかめば偽造がされやすく、心身の状態、年齢経過に伴い全く同じサインは書くことができません。また、玄関先での配達受け取りや会社での回覧、複数枚ある書類など、サインを書く時間と印鑑を押す時間を比べたとき、以外にポンと押す印鑑の方が楽だというケースが多々あります。

一方、厳密厳格な正当性の観点において印鑑に合理性と優位性があると考えられます。また、社会システムとして構築された印鑑登録制度は、文化や慣習としての既に定着し法律においても守られています。更に印鑑は使用できる人を規定すれば、第三者による正統性を担保することが可能です。例えば、会社においても社長が「全ての契約書にその場まで出向いてサイン」をするということは現実的ではありません。印鑑はこういった点においても利点があるとも言えます。更に複雑な印鑑の印影は、通常0.2ミリ(髪の毛2・3本)以上の太さで彫刻するため偽造するには相当な技術力が必要です(安価な大量生産のものは除く)。そもそも完全偽造するにはコスト、手間が想定以上にかかり、更にその行為は刑法で罰せられます。所持されるご自身の印鑑は「物理」としての素材(木材、角、牙、石など)、重さ、色合い、目の模様、彫刻深さ・跡、印影は唯一無二でもあります。時代が進む中、現地・現物・現実での対面契約そして、「印鑑を求められたという意味合い」は、これまで以上に「重要度」が増しています。

デジタルについては、電子認証や電子署名があります。正当性や利便性も高いといったメリットがありますが、技術進展が著しく常に変化し続けるデジタル分野において、情報漏洩やなりすましなどのセキュリティの問題、個人情報保護・企業情報保護の問題、デジタルデバイドの問題、更にサービスを永続的に続けることができるのかといった不安もあります。欧米においても公証人を通した紙とサインの契約(Notary Public)は現在でも当然のように存在しています。それぞれにメリットデメリットがある中、どれか一辺倒ではなくサインの良さ、印鑑の良さ、デジタルの良さ、そして業種・業態や企業風土だけでなく承認のレベルにあった利用がそれぞれに求められています。

 
サイン
印鑑
デジタル
物理環境
紙・ペン
紙・印章
WEB環境
偽造されやすさ
偽造されやすい
基本的には難しい。対象生産のものは容易
基本的には難しい。パスワード漏洩、なりすまし
想定リスク
癖やその時の心身の状態、年齢経過により変化
紛失・盗難
パスワード漏洩・忘却・サイバー攻撃・停電
正当性の担保
サインを書く人
印鑑を利用する人
端末の暗号データ
厳密な正当性確認
低い(契約ごとに「公証人」に承認をもらう必要あり)
高い。行政による印鑑証明制度
高い。電子署名、電子証明書、クラウドサービス
権利保護対象
契約片方(サインを書かれた側)
契約行為の双方の当事者
契約行為の双方の当事者
費用
なし
数百円〜数万円
数万円〜数百万円(年ごとに更新)
権限の移譲
できない(サインを書く人のみ)
代理決済可能(印鑑をアクセス管理することで可能)
できない
永続性
文化として定着していない
既に文化・慣習として定着
定着していない。技術革新をし続ける必要性
課題
最終合意形成完了まで時間がかかる
最終合意形成完了まで時間がかかる
ソフトウェア環境維持。技術革新への対応、サイバー攻撃への対応。契約相互の了承
業務フロー
アナログのため用意に変更が可能
アナログのため容易に変更が可能
システム化と定着までに時間とコスト